スカイリムにおけるフォロワー管理MODの歴史

スカイリムで連れていけるフォロワーは、人型1人と動物1頭のみです。複数のフォロワーを雇用するためには、フォロワー拡張MODあるいはフォロワー管理MODと呼ばれるMODが必要になります。

フォロワー管理MODと言うとフォロワーの動作を変更するもの全般を指しますが、ここでは複数のフォロワーを雇用する機能を持つものに限定してご紹介します。特定のMODをお勧めするということではありませんので、読み物として楽しんでいただければと思います。

リリース年表

これまでに公開されたフォロワー管理MODをリリース順に並べました。見やすさを優先して敬称略とさせていただき、公開者名が作成者名と同じ場合は省略しています。非公開とされたもの、および許諾関係が不明瞭なものは対象外です。


フォロワー管理MODのパイオニア

主流となった3大MOD

スカイリムがリリースされて半年足らずの間に、3つのフォロワー管理MODが続けて公開されました。Extensible Follower Framework (EFF)、UFO – Ultimate Follower Overhaul (UFO)、そして Amazing Follower Tweaks (AFT) です。

これらのMODは非常に完成度が高く、初期のフォロワー管理MODの主流を形成し、この分野を牽引する存在となりました。当時はフォロワー拡張MODと呼ばれることも多かった分野です。それぞれに特色があり、EFFは100人まで管理可能で独自のUIを搭載、UFOは15人までの管理で比較的シンプルな実装、AFTは7人までながら多岐にわたる機能を提供、といった違いがありました。

初公開から長い年月が経っていますが、今でもフォロワー管理MODの選択肢として名の挙がる3大MODです。まだMOD制作に関する情報も不十分な時期に、これほど完成度の高いMODが公開されたことは、ユーザーにとって幸運であったと言えるでしょう。

余談となりますが、EFFの作者様は、今なお多くのユーザーに利用されている RaceMenuUIExtensions の作者様でもあります。

AFTの派生版

AFTが他と大きく異なる点として、派生版の存在があります。これは、制限の緩い独自の Permission(許諾事項)を採用したからです。その一部を抜粋すると、クレジット表記無償提供同じ許諾の付与、という条件が守られる限り、コードを改変・再配布することを認めています。オープンソースソフトウェアのコピーレフトの考え方に近いです。これにより、AFTを一部改変して別のMODとして公開する、ということが可能となり、複数の派生版が作成されました。

派生版はユーザーの選択肢を増やしましたが、中には元の許諾事項が守られていないものもあります。多種多様なMOD作成者がいる中で、独自の許諾事項を順守してもらうのは難しかったようです。

SEへの変換版については、オリジナルの作成者である Dheuster 氏が Amazing Follower Tweaks SSE (Dheuster’s Original) を公開していました。現在は非公開となり、別の方が変換した Amazing Follower Tweaks SE を使用するよう案内されています。

LE時代における変化

公式から3つのDLCがリリースされると、Legendary Edision (LE) の時代に突入します。

この時代に公開されて瞬く間に有名になったのが FollowerLivePackage (FLP) です。こちらはフォロワーの管理全般に焦点を当てたMODで、複数雇用もできますし、他のフォロワー管理MODを補完するようにして使用することもできます。他の管理MODと併用することで個別のニーズを満たす、という着眼点が新しく、高い評価を得たMODです。

その後、同様に補完目的でも使用できるMODとして、Quick Menus も公開されています。こちらはフォロワーに限らず、様々なシステムに変更を加えることができるMODとなっています。

また、1つ取り上げておきたいMODとして、機能をできるだけシンプルに保った { Skyrim Party System – Simple version – があります。当時は他に同様のコンセプトを持ったMODがなく、新しい方向性を示すものとなりました。

こうしたMODがLE時代のフォロワー管理を支え、発展してきました。そして、次なる Special Edition (SE) の時代に移り変わっていくこととなります。


新世代のMODと多様化

覇権を握るMODの登場

2018年6月、以降の覇権を握るようなMODが登場します。Nether’s Follower Framework (NFF) です。

長らく新たな主軸MODが出現していなかったこともあり、ユーザーからの反響は大きいものでした。それらの意見や要望を積極的に取り入れながら、高い頻度で更新が行われていました。その多機能性や独自の要素が受け入れられ、先の3大MODと並び称される存在となり、現在でも高い人気を維持しています。

年表では2021年に記載していますが、オリジナルが公開されたのは2018年です。Nexus Mods でMODファイルの削除ができなくなることが発表されたときに一度取り下げられて、その後別のIDで再公開されました。

バリエーションの多様化

SE、そしてVRがリリースされたのに合わせ、フォロワー管理MODも多様化していきます。LEから続いてきたMODのSE対応版に加え、シンプルなもの、補完するタイプのものについてもバリエーションが増えました。特に、シンプルな管理MODの選択肢が大幅に増えたのがこのときです。MODで何をどこまで変更したいか、というニーズをより幅広く満たせるようになっていきました。

SEのリリース後においても、LEをプレイし続けるプレイヤーは多くいました。2つのエディションが共存するという特殊な状態を背景に、LEからSEへ、SEからLEへ、という双方向で技術交流が行われ、MODの開発は非常に盛況でした。


機能の最適化と最新技術の恩恵

SKSEプラグインの普及

現在は、SKSEプラグインを利用して機能の最適化を図るMODが多く出ています。フォロワー管理の分野でも、powerofthree’s Papyrus ExtenderSpell Perk Item Distributor (SPID) といったMODを前提とすることで、以前は困難だった機能、あるいは負荷のかかる方法で実装していた機能を最適化する動きがあります。これらのSKSEプラグインのダウンロード数はともに200万以上あり、ユーザーへの普及が進んでいることが予想されます。作成者側としても、前提MODとして利用しやすい状況にあると言えるでしょう。

SKSEプラグインは、フォロワー管理MOD以外のMODから見てもメリットがあります。以前は管理MOD別に異なるパッチを用意していたのを、SKSEプラグインの関数を利用することで回避できるからです。例えば、現在のすべてのフォロワーを取得したいときは、Papyrus Extender の GetPlayerFollowers() 関数が利用できます。管理MODの種類に影響されない処理方法の存在は、コードの互換性を高め、結果として作成者とユーザー双方の手間を軽減することに繋がります。

生成AIの登場と恩恵

スカイリムのMODにも、生成AIをはじめとする新しい技術の波が流れ込んでいます。生成AIの恩恵は様々で、多言語への対応会話音声の作成、さらにはクラッシュログの解析などにも用いることができます。

フォロワー管理の分野においては、今のところ生成AIによる大きな影響は見られず、多言語対応に利用されている程度です。その一方で個々のNPCという視点で見ると、会話音声の追加であったり、会話のやり取りそのものであったり、生成AIによる機能拡張は確実に広まっています。いずれ新たな技術革新も生まれてくることでしょう。今後、こうした最新技術がMOD作成者の助けになるとともに、ユーザー体験の向上に寄与することが期待されます。


あとがき

スカイリムはもうすぐ14周年を迎えますが、今でも Steam チャートの 最もプレイされたゲーム ランキングに入っていますし、Nexus Mods でSE用に公開されたMODの総数は11万8千を超えています。これだけの発展を遂げたのは、The Elder Scrolls シリーズの作り込まれた世界観、自由に走り回れるオープンワールド、そして Creation Kit でのMOD作成サポートによるところが大きいと思います。

多くのユーザーを抱える中、フォロワー管理MODに求められる機能というのは本当に千差万別です。何でもできる多機能なものを求める声もあれば、複数人を連れていく機能だけを求める声もあります。すべてのニーズに応えることはできなくとも、様々な選択肢によって少しでも広くカバーする環境作りが大事です。私自身も微力ながらその一端を担えるよう、この先も活動を続けていきたいと思います。

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